目次
1. オープンイノベーションとは
2. 成功事例
3. 主な失敗理由と課題
4. まとめ
オープンイノベーションとは
オープンイノベーションの定義は幅広く様々あるが、それらに共通するのは、会社の内部と外部のアイデアや技術を活用し、価値を創造するという点だ。
文部科学省の科学技術白書では、オープンイノベーションとは、技術を求める組織と、技術を持つ組織が出会い、新しい価値を創造するための手段であるとしている。
また同白書には、オープンイノベーションの主体は企業ということになるが、その実現に向けては、既存のネットワークを超えて最適な解決策を探し出すパートナーが必要であり、特に研究開発の部分で重要な役割を果たすことが期待されているのが大学や研究開発法人(及び大学・研究開発法人発ベンチャー)であると記載されている。
一方、クローズドイノベーションとは、”内部のアイデアや技術のみで商品やサービスを開発するイノベーション”のこと。
日本やアメリカの多くの企業はそのイノベーション手法を活用していた。企業や業種など、あらゆる枠組みを超え、商品やサービスを開発するオープンイノベーションとは大きく異なることが分かるだろう。
続いて、オープンイノベーションの成功事例と失敗理由を紹介していく。
成功事例
LEGO
アメリカの成功事例でまず紹介したいのは、LEGOグループだ。
LEGOでは消費者にビジネス面でも創造性の面でも焦点を当て、アイデアを募集するサイトを開設した。
消費者は自身のレゴセットをデザインすることができ、他の消費者は良いと思ったアイデアに投票する。投票数が一定を超えると、新しい商品として製作するか検討されるという。消費者の意見をイノベーションの中心にすることで、消費者目線の良い商品が生まれる。
さらに、LEGOはMIT Media Labと提携。プログラム化できるレゴブリックを開発したことはLEGOの成功に拍車をかけた。
P&G
P&Gでは「コネクト・アンド・デベロップメント」の名のもと、多くの商品やサービスを提供している。パートナーは、企業、研究機関、サプライヤー、小売取引先、製造委託会社など多岐にわたっている。
対象とする分野幅は、技術や知識、市場調査方法、マーケティング手法、ビジネスモデルなど様々ある。
有力なパートナーを発掘するため、いくつかの国の言語による「コネクト+デベロップ」ウェブサイトも開設。アメリカはもちろん日本を含め世界でグローバルに展開している。
Apple
自前主義なイメージを持たれているが、実はオープンイノベーションをうまく活用しているのが、Appleだ。
例えば、アプリ。iPhoneユーザーは様々なニーズを持っている。ユーザーがアプリを開発し、それぞれのニーズに合わせてカスタマイズすることはAppleにとっても、ユーザーにとっても利点となっている。
続いて日本での成功事例を紹介したい。
大阪ガス
まずは大学との協定締結で事業を拡大したのが大阪ガス株式会社だ。
大阪ガス株式会社と京都大学(京都大学産官学連携本部)は、人材や設備、知識、技術などの相互利用を通じて、エネルギー環境分野などにおける技術開発や事業の加速化に成功した。
その後も様々な分野でオープンイノベーションを推進し、2018年にはイノベーション本部を創設。
社内のニーズを公開することで入ってくる外部からの提案を元に、商品の開発やコストダウン、性能アップなどに力を入れている。
次に注目したいのは自動車業界。様々な分野のイノベーションが同時に起こっているこの業界では、内部の知識や技術を共有し、また外部から新しい知識や技術を取り入れる動きが広まっている。
トヨタ
トヨタ自動車株式会社では未来プロジェクト室と呼ばれるオープンイノベーション推進組織がある。
メンバーの構成は社外が3分の1を占めているそうだ。多くが出向という形で、地方自治体の職員から先端産業の社員までが集まり、問題意識やミッションを共有し、迅速にプロジェクトを遂行している。
また、ある商品の実用化に向けて、トヨタはマツダ、 ウーバー、アマゾンなどの大手企業とアライアンスを結み、デトロイトで行われた家電見本市では大きな話題を呼んだ。
最後に日本から紹介したいのは大手通信事業者だ。
KDDI
KDDI株式会社では、KDDI Open Innovation FundやKDDI∞ Laboなどを運営し、スタートアップ企業への出資や人材開発などを行なっており、これらから新しい商品を提供するためのアイデアやノウハウを蓄積して、携帯電話事業に活かしている。
近年ではグローバル化対応として、SIMカードを活用したセキュリティの技術を確立するなどしており、KDDI株式会社のオープンイノベーションは成功例と言えるだろう。
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