富士通アクセラレーター第8期協業検討面談フェーズ進出企業分析

HIKARU TOMURA
2.22.2020

富士通アクセラレーター第8期協業検討面談フェーズ進出企業分析

2月10日東京ミッドタウン日比谷内BASE Q で富士通株式会社が主催するFUJITSU ACCELERATORのピッチコンテストが開催された。会場には約300名近くの投資家・事業会社の投資担当者・新規事業担当者・オープンイノベーション担当が集まり、中にはシリコンバレーよりはるばる駆けつける者もいた。同記事ではピッチコンテストに登壇した企業詳細を執筆する。

登壇企業#1

企業名:IDEAAI

企業サイト:http://ideaai.co.jp/

企業概要:同社は画像処理技術を提供しており、その技術は建物の故障予測、防犯予測等、事故防止予測等に利用することが可能である。COF製造ライン用検査システムとして台湾メーカーに導入されている。

企業評価:画像処理技術はAI領域の中でも競争が激しい分野であり、非言語であるため海外企業との戦いになることは言うまでもない。今後同社の独自のポジショニングが必要不可欠であり、画像処理技術の中でも特段ニッチな市場選定が功を成す上で必要な戦略となる。

登壇企業#2

企業名:キャッシュフローリノベーション

企業サイト:https://cfr-tokyo.co.jp/

企業概要:工場向けに生産性向上分析サービスを提供している。同社が提供するIoTデバイスによって従業員や機械の動きを分析し改善案を提供する。費用は調査費用およびコンサルティング費用。

企業評価:AIによる工場向けの生産性向上サービスは日本国内でも大手企業が先行投資しており、デンソー・エプソン等が中でも有名である。5Gが普及するとAR技術によってリアルタイムでの分析が可能となり、さらに業界はレッドオーシャンとなり得る。時代の波に呑まれることなく、富士通と協業することにより、いかに国内外の大手に挑戦するのか期待したい。

登壇企業#3

企業名:OVOMIND

企業サイト:http://ovomind.com/ja/

企業概要:同社は感情認識技術を提供しており、現在はその技術を利用してゲーム市場でPoC検証をしている。他社に比べ、声や顔の表情にのみならず、その他の生体反応に関する情報からも分析可能。(ピッチコンテストの発表内では特的していなかった)

企業評価:感情認識技術はAI領域の中でもトラッキングするデータ量の多さより難易度が高く、大手企業だとオムロン等がリードしている。他社に比べ、いかに精度の高い感情認識技術を開発できるか・そしてその技術を必要とする領域にいかに先手で導入できるかが同社成功の鍵となる。個人的には人の感情データを大量に分析する中国系企業が今後同社の競合となると推測する。

登壇企業#4

企業名:テックタッチ

企業サイト:https://techtouch.co.jp/

企業概要:同社は従業員の教育用CRMを開発している。誰でも簡単に理解できるデザインで従業員の教育費用削減を実現することができる。システムはウェブで利用可能でノンプログラミングで利用できる。年間8400円で提供。

企業評価:富士通との協業により富士通の営業部隊を利用してサービス拡大が可能となる。この手のサービスはサービスの安さや利用しやすさよりも、いかに先手でセールスできるかが鍵となるため同社にとってまたとない協業チャンスだろう。富士通のセールスチームをいかに効率的に動かせるかが鍵となる。

登壇企業#5

企業名:ホイップ

企業サイト:https://whip.life/

企業概要:同社はSaaS型マーケティングツールを提供している。予算・潜在顧客層を設定することによってCMクリエイターと一緒に広告を簡単に作成することができる。

企業評価:SaaS型のマーケティングツールは複数社が既に参入しており、どの企業もインフルエンサーの囲い込み合戦となっている。今後の他社との差別化に期待。

登壇企業#6

企業名:ゼノデータラボ

企業サイト:https://www.xenodata-lab.com/

企業概要:提携するメディア会社からのテキストなどの情報を抽出して経済動向を分析するサービス。大手金融機関から出資を受け既にサービス展開している。

企業評価:この手のサービスは大手企業から予算がとりやすく、近年はユーザーベースが提供するSPEEDAが急速に成長している。競合の分析ツールとしてはブルームバーグ、SMBC、トムソン・ロイター等が提供している。ベンチャー企業でも類似サービスはいくつか存在するため、他社との差別化を図るためもう1クッション必要。また大手企業の門戸をたたくセールスの戦術が極めて重要になる。

登壇企業#7

企業名:アルステクネ・イノベーション

企業サイト:http://www.at-innovation.com/

企業概要:日本には根付いていない芸術鑑賞教育を促進することで欧米の芸術教育に負けない想像力を養う。欧米の小学生は作品の前に止まりあらゆる角度から鑑賞したり、何故この角度から描かれたのかということなどあらゆる観点から作品に関して自分なりの意見を持ち議論するという教育カリキュラムが構築されている。

企業評価:このHokusaiの作品をデジタライズすることは美と感動を数値化することにも繋がる。これは情報のクオリティと価値を定義し良質な社会と人のイノベーションを巻き起こす。

登壇企業#8

DATAFLUCT

企業サイト:https://datafluct.com/

企業概要:宇宙技術、5G、IoT、AIなどのあらゆるデータから価値を生み出し、ビジネスに活用出来るデータサービスを提供する。データを持つ企業と共創し、課題ドリブンでデータサイエンスサービス(AI−SaaS)を開発する。

企業評価:AI商圏分析やビッグデータによる需要予測、また衛星画像による検出、モニタリングなどによって、経済的価値の高いデータが蓄積し、あらゆる産業へデータを汎用することが可能である。つまり、これらのデータは今後新たなアルゴリズム開発やビジネスを生み出す上で必要不可欠となり、クライアントにとって大きなインパクトになり得るのは間違いない。

登壇企業#9

企業名:データミックス

企業サイト:https://datumix.co.jp/

企業概要:デジタルツインに着目。人の情報判断と意思決定をモデル化し優秀な人の意思決定に達する過程をデジタルツイン化する事で業務の質向上にメスを入れる。優秀な社員の独自の感覚で成績を上げていた事例のデータを収集し分析させ、新入社員の研修に落とし込むことで研修の質を飛躍的に向上させた事例がある。これらのデータは社員にアンケートをとるというアナログなデータ収集方法ではなく、後輩への声がけの仕方や発する言葉などテキストデータ(スラック)で社員を分析。富士通とは物流業界のデジタルツインを目指す。

企業評価:ピープルアナリティクスの分野は今後日本市場で大きく成長することは間違いない。10年前よりGoogleでは当たり前のように取り入れられた分野が、近年になって日本に上陸。人材xAIという領域でいかにポジショニングできるかが重要。

登壇企業#10

AnchorZ

企業サイト:https://anchorz.co.jp/

企業概要:バックグラウンドデータを活用することでセキュリティの強化を目指す。現在ではバックグラウンド認証があまり盛んではなく、指紋認証や顔認証システムが主流となっている。これらはシンプルでありユーザー認証を手軽に行える一方、認証の精度については不安が残る。それは、「指紋認証でロック解除できますよ」と鍵の形状を明らかにしているので、指紋情報を入手すればロックを解除できるからだ。対して、バックグラウンド認証はユーザーの表情やボタンの押し方、使う指、閲覧速度など多岐に渡るデータを収集しユーザー本人を認証するのでセキュリティが強固であると言える。

企業評価:5Gが普及しありとあらゆるモノ・デバイスが会話する時代がやってくる。つまりこれまで以上にセキュリティー管理が必要となりクラウドセキュリティー戦国時代がやってくる。企業価値が拡大することは間違いない。

登壇企業#11

MeeCap

企業サイト:MeeCap

企業概要:業務可視化のプロセスマイニングを提案。同社は、労働力の減少など会社を取り巻く様々な事象の中で社員のオペレーションに課題が散在していることに着目。導入はとても容易でクライアントにモジュールをインストールするだけ。データの最小単位は1タイピング。社員のタイピング1文字からデータを収集する事で業務の無駄を改善するという事はかなり精度の高い業務改善を提案できる。

企業評価:このサービスによって「業務の可視化」「勤務状況の把握」「RPA化分析」「内部統制」を達成することが出来る、革新的なサービスである。働き方改革が推進されいる今の時代に求められるサービスであると考える。

登壇企業#12

NeoX

企業サイト:https://corp.neox-inc.com/

企業概要:「簡単導入・簡単実現」をコンセプトに物体認識ソリューションを提供。「実世界」と「ネット情報」の完全融合化をを目指す。物をスキャンするだけで情報を引き出せるサービスである。このサービスを使うことにより、スキャンするだけで腐ったリンゴか完熟のリンゴか20%完熟のリンゴかなど細かく識別できるようになる。日本の大手百貨店の在庫管理のソリューションとなり得る。

企業評価:大手百貨店での人員削減に大きく役立つであろう。また、一般人も野菜や果物を購入する時に、このサービスを使って良い野菜・果物を選別することが可能になる。

登壇企業#13

Anyflow

企業サイト:https://anyflow.co.jp/

企業概要:SaaSとSaaSを繋ぐサービスを提供。現在、日本では1社あたり20〜30のSaaSを使っており、その数は増加傾向にあるがSaaS同士の連携が難しい状況がある。今後、日本でも海外のように多くのSaaSを使用していくため、SaaS同士を連携させるサービスのニーズが高まる事が予想される。

企業評価:SaaS連携にエンジニアが必要なくなるこのサービスは需要が高いだろう。海外ではこのサービスは主流らしいが、「日本の市場の小ささ」や「言語の壁」などから日本への参入は考えにくいだろうと考えている。日本での企業価値は高まるであろう。

登壇企業#14

Linc’well

企業サイト:https://www.linc-well.com/

企業概要:テクノロジーを使ってクリニックのオペレーションを効率化。現状のクリニックはオーナーの平均年齢が高く、現金しか使えなかったり長い時間待たされたりとかなり使い勝手が悪い。サービスを導入した事で、平均来院者数70人のクリニックを200人まで拡大させた実例がある。待たずに診察から薬をもらうところまで出来るなら病院に行くハードルも下がるだろう。

企業評価:「約15分で診断を終え帰宅できる」「キャッシュレス化」「過去の診断履歴が見れる」という大きな強みがあり、これは現代人が求めるものである。ある病院に導入したところ一日の患者数が普通の医者の三倍になったという事実が物語っている。Linc’wellはオンライン診療にも着手しており、今後も企業評価は伸び続けると考えられる。

登壇企業#15

RevComm

企業サイト:https://www.revcomm.co.jp/

企業概要:MiiTelは電話営業や顧客対応を可視化することにより、成約率をあげ、解約率と教育コストの低下を実現するサービス。顧客管理システムとの連携により、顧客名をクリックするだけで簡単に発信できたり、着信時に顧客情報を自動表示し、生産性向上に役立てる。会話内容を自動録音するので、教育やコンプライアンス対応など、他業界で幅広く活躍できるポテンシャルがある。

企業評価:電話営業や顧客対応はビジネスにおいて必須であり、また教育コストもかかるものである。このサービスにより、営業成約率をあげ、解約率と教育コストを抑えることが出来る。また、名前をクリックで簡単に発信したり、着信時に顧客情報を自動表示するなど、レスポンス短縮にもつながり、顧客を待たせる時間も減ることになる。他業界で幅広く活躍できるポテンシャルがあることから、企業価値はさらに上がっていくことが期待できる。

登壇企業#16

PerceptIn Japan

企業サイト:https://www.perceptin.io/jpn

企業概要:「交通弱者の増加」という社会問題を解決するソリューションとして、「マイクロロボットタクシー(自動運転車)」を提供する企業である。公園や農園など短い距離の移動に使われる。これにより、家族連れや高齢者も利用できるようになり、地域の生活の足として機能する。通常の自動運転車の10分の1の値段という事もあり、導入しやすい価格である。

企業評価:「人手不足」「高齢化社会」という今の日本が抱える大きな課題を解決するプロダクトである。さらに値段も通常の自動運転車の10分の1という事もあり、導入しやすいため、あらゆる公園・農園などで導入されることが期待できる。企業価値は伸びるであろう。

登壇企業#17

株式会社アダコテック

企業サイト:https://adacotech.co.jp/

企業概要:目視検査にAIを適応する企業である。今までは、監視カメラに異常とプログラムした事象しか感知出来なかったが、このサービスにより「プログラムされていないが何か異常な事」が発生した場合でも感知できるようになる(例:泥棒の侵入をプログラムした監視カメラは車の事故を感知することが出来ない)。強みとして「正確性→見逃し0%」「学習の即時性」「説明性→異常と判断した理由が分かる」という三点がある。

企業評価:多くのニーズがありながらもこれまで実現が困難であった、動画像認識を社会で活用する道を拓いていける可能性がある。実際に国際コンペティションでは、「中国科学院・メリーランド・南フロリダ・カーネギーメロン・マサチューセッツ大学」を圧倒的に抑えている。

登壇企業#18

ヒトクセ

企業サイト:https://hitokuse.com/

企業概要:ページ来訪者別にコンテンツへの関心度合いを把握できる「Gaze Analyzer」という技術を開発。従来は「ページ遷移」「閲覧部分」しか検出できなかったが、この技術により、ユーザーの視線を予測し、ユーザーの関心をより精度高く可視化することを可能にした。これにより「関心の可視化でサイト改善を定量化」「ユーザーのUXをデータ化できる」「関心層のみに広告を配信」というようなことができるようになった。

企業評価:従来に比べ、より高い精度でユーザーの関心が可視化できるこのサービスは、ネット社会での需要はかなり高いと考える。視線を分析することにより、どの箇所が詠まれているのかや、関心のある人だけに広告を打つことができるため、コストの削減にも繋がる。

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