ICO資金調達の国内事例とメリットデメリット

目次

1.はじめに 
2.今更聞けないICOについて 
3.Case1 : メタモ株式会社 
4.Case2 : QUOINE株式会社 
5.まとめ

はじめに

近年、スタートアップの資金調達が多くのニュースで取り上げられている。 
ベンチャーキャピタルのスタートアップへの投資額も毎年更新されている。 
2018年度の国内スタートアップの資金調達額は4000億円にも登るとされており、スタートアップ投資バブルといってもいいだろう。 
さて、スタートアップの資金調達といえばベンチャーキャピタルからの出資というほど投資ニュースが盛んな今の日本だが、資金調達の方法は、他にはどういったものがあるだろうか。

スタートアップの資金調達方法といえば、自己資金による会社経営、銀行からの融資、ベンチャーキャピタルからの調達、という3つの選択肢だった。しかし現在では、先ほど挙げた3つ以外にもクラウドファンディングやICOなど資金調達方法も多種多様化してきた。

今回は、2018年に話題にもなった「仮想通貨を発行して資金を調達する」ICOについて見ていくと共に、ICOで資金調達を行うことはベンチャーにとって良いのかについて、これまでの事例から考えていく。

今更聞けないICOについて

ICOとは、「独自の仮想通貨(トークン)を発行して暗号通貨取引所に上場、資金を調達する」新しい調達方法の一つ。 
VCやエンジェルからの調達と異なり、仮想通貨は誰でも購入することができるので、我々でも投資家の一人としてICOに参加することができる。 
また、よく聞くVCからの資金調達は対スタートアップ(企業)のみだが、ICOは企業のみならず、プロダクトやサービスにも適応されるため、クラウドファンディングに近い仕組みとも言える。 
つまり、ICO=クラウドファンディング with 独自の仮想通貨といったイメージだ。

ICOの調達ラッシュは2017年~2018年にかけて凄まじく、何百億もの大金が集められるほど注目を浴びている。
(日本ではそれほど熱を帯びてはいない仮想通貨による資金調達だが、海外ではまだまだバブル状態であろう)

ICOによる調達はいかほどか? 
ICOでの調達の国内事例からその実態を見ていこう。

メタモ株式会社

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(https://www.meta-mo.co.jp/)

トークン販売期間:2017年8月15日〜2017年9月1日

受け入れ可能コイン:BTC/ETH(Ethereum)

調達額:3万ドル(約300万)

ICO参加者:54人(うち8割が海外)

メタモは、職歴や学業の取り組みを始めとした個人が持つスキルを可視化することのできる「Metamo Card(メタモ・カード)」の発行を行い、就労実績を客観的に評価出来るというサービスを提供しているスタートアップ。 
メタモのこのICOは日本国内企業において第1号案件だった。
### 調達が思うように伸びなかった理由

Metamoトークンの価値上昇の不明確さ

ICOでは、私たちが独自の仮想通貨であるトークンを購入する際に「ホワイトペーパー」というものを判断材料とする。

*ホワイトペーパーとは、上場されるトークンや企業のビジネスモデル、技術的優位性や社会的価値など企業やプロダクトにまつわるプランが記載されている書類のこと。 この、ホワイトペーパーをもとに投資家を募う。

メタモのホワイトペーパー(P16~)では、発行される「Metamoトークン」の価値についての記載が明確にされておらず、いまいち投資家の人々にトークンの良さが伝わらなった。

VCからの調達とは異なり、ICOでは多くの人が参加出来るので投資家の母集団は増えるという点でメリットではあるが、逆を言えば、投資家側に対して「どんな価値があるのか」「ICOに参加することで得られるもの」を具体的に示す必要があるため、多くの賛同者を作るためにも具体的な説明責任とサービスとしての魅力を伝えることが求められる。 

PR/マーケティング不足

メタモはICOの期間が2週間程度と短かった。 
ICOの調達ランキングに出てくる企業を見ていてもおおよその期間は短くても1ヶ月くらいのICOが多い。さらに、ニュースリリースもプレスリリース配信代行サービスで行っただけという簡易なもののみだった。

ICOによる調達の成功は必ずしも参加者が誰なのか、どれくらいの人数が参加しているのかだけではないが、それらもトークンの価値を図る基準の一つとなっているのが現状である。 
知名度の低いスタートアップやプロダクトがICOによる調達で成功するためには、外部へのマーケティングが大きなカギを握る。


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